交通事故で受け取った慰謝料は確定申告が必要か?

交通事故の被害者となった場合には、慰謝料をはじめとしてケガの治療費など、様々な種類のお金を加害者側から受け取る可能性があります。しかしそのようにして得たお金は、確定申告をして税金を支払う必要があるものなのでしょうか。

知らないままでいると申告漏れとなってしまう種類のお金もあり、注意が必要です。こちらでは、交通事故で受け取る可能性のあるお金について、確定申告が必要なのかどうか解説します。

関連記事:交通事故で示談金や慰謝料の事で困ったら賠償金算定センターに相談

交通事故で受け取る可能性のあるお金1~賠償金~

交通事故の被害者となった時に受け取るお金の種類として、代表的なものが賠償金です。賠償金も、誰に対して支払われるかによって大きく3つに分類されます。1つ目が、本人に対して支払われる賠償金です。2つ目は、交通事故によって物損被害が出た場合にそれを補償する、物に対する賠償金です。

そして3つ目が、被害者が亡くなってしまった場合に遺族に対して支払われる賠償金です。1つ目の本人に対して支払われる賠償金には、治療費や入院費、病院に行くためにかかった交通費や、ケガを治療するために仕事を休んだ場合の休業損害費などがあります。

事故に遭っていなければできたはずのことに対して生じる逸失利益や、後遺障害が残った場合に支払われる慰謝料なども、本人に対して支払われる賠償金の一種です。2つ目の物損被害に対して支払われる賠償金には、車の修理費や代車費用、買い替え費用などがあります。

そして、3つ目の遺族に対して支払われる賠償金としては、葬儀費用、死亡させてしまったこと自体に対する慰謝料などがあります。

関連記事:交通事故の慰謝料等を算定する弁護士の赤本とは

賠償金に対しては基本的に税金がかからない

全ての種類の賠償金に対して、基本的に課税されることはなく、したがって確定申告する必要もありません。慰謝料も非課税ですし、休業損害もそうです。休業損害に関しては仕事の収入を補償するものですので、給与所得と同様に課税されるのではと心配する人もいるかもしれませんが、これもあくまで損害金であり、被害者が自分で働いて得た収入ではないため、課税されることはないのです。

遺族に対する賠償金についても、所得税は勿論のこと相続税もかからないというのが原則です。

例外的に課税される場合も!

前述のように、賠償金として受け取るお金には基本的に税金がかかることはありませんが、例外的に課税されることもあります。それは、受け取った賠償金の費目が事業経費として落とすことのできるものであるケースです。

ある店舗に車が突っ込んで、お店を壊してしまったという例で考えましょう。この時経営者は、お店の修理費用を費用として計上し、売り上げから差し引きます。ところが一方では、車の運転手からお店の修理代金を賠償してもらうことになるでしょう。

費用として売り上げから差し引いているにも関わらず、実際にはお金を受け取っているというのでは、会計上不合理ですね。そこで、この時受け取った賠償金は、確定申告時の計算に入れて申告する必要があるのです。

同じ例で、被害にあったお店が中古車販売店だとしましょう。車が突っ込んだことによって、お店の商品である車が破損してしまったとします。この時も、破損した車の原価は費用として売り上げから差し引きますが、他方で運転手からは、車の代金を弁償してもらうはずです。

したがって、受け取った車の弁償金は確定申告して税金を払うことになります。他にも、例外的に賠償金に課税されるケースがあります。それは、本人が賠償金を受け取った後に別の原因で死亡した場合です。

交通事故で直接死亡した場合に受け取る賠償金には相続税がかかりませんが、本人が一旦受け取ることで「賠償金」としての性質が弱まり、「本人の財産」という意味合いが強くなるため、課税されてしまうのです。

このケースでは相続が開始した時から10カ月以内に、税務署で確定申告手続きをする必要があります。ただし、相続税を計算するにあたっては基礎控除というものがあり、相続した財産の合計金額が基礎控除よりも少ない場合には申告は不要です。

交通事故で受け取る可能性のあるお金2~保険金~

交通事故被害者となった時には、保険会社から保険金が支払われることもあります。この保険金には税金がかかるのでしょうか。結論から言うと、保険金については課税されるものと課税されないものとがあります。課税されないものは、被害者が生きている場合に受け取る保険金です。

種類としては車両保険、自損事故保険、人身傷害保険などがあり、支払われた保険金は全て非課税で、確定申告する必要がありません。一方で課税されるのは、被害者が死亡した時に受け取る保険金です。例えば、自損事故保険というのは、自分で運転を誤ってガードレールにぶつかったり、全く相手側に過失がない場合に適用される保険です。

自損事故保険には死亡保険金がありますが、受け取ると全額に対して税金がかかります。なぜならば自損事故では相手に過失がなかったり、そもそも相手がいないため、「賠償金」としての性質が弱いからです。人身傷害保険にも死亡保険金があり、被保険者や、契約していた自動車に乗っていた人が死傷した時に支払われます。

人身傷害保険で死亡保険金が支払われた時には、被害者の過失割合に応じた死亡保険金額に対して税金がかかります。例えば、被害者と加害者の過失割合が4対6である時に死亡保険金として3,000万円が支払われると、1,200万円分が課税対象となり、残りの1,800万円は非課税となります。

発生する税金の種類にも注意しよう!

保険会社から支払われた死亡保険金に税金がかかる場合には、発生する税金の種類にも注意が必要です。具体的には、相続税・所得税・贈与税のいずれかに分類されることになります。どの税金に分類されるのかは、「保険料を支払っていた人」が誰なのか、「保険金を受け取った人」は誰であるか、「死亡した人」は誰かという3点で決まってきます。

まず、「保険料を支払っていた人」と「死亡した人」が同一である場合には、相続税が課税されます。そして「保険料を支払っていた人」と「保険金を受け取った人」が同一人物の場合に課税されるのは、所得税です。最後に、3つの人物が全て異なる人の場合には、贈与税が課税されることになります。

こんな点にも気を付けよう

賠償金とは別に「お見舞金」というものを受け取ることもあります。この「お見舞い金」も、基本的には非課税です。ただし、「相当とされる範囲を超えて」高額な金額を受け取った場合には、超えた部分に課税されます。この、「相当とされる範囲を超えて」高額とはどのくらいの金額かというのは明確に定まっておらず、個々のケガの状態などを考慮して判断されます。

また、賠償金として医療費を受け取った際に、その金額は医療費控除には含めることができません。